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2007年3月 9日 (金)

関西人のための関東生活心得マニュアル

 春はIDO(異動、移動)の季節である。就職や進学、はたまた転勤などで、東京へ来る人も多いだろう。もちろん、そんな人たちの中には関西人も多く含まれているに違いない。

 しかし関西人は幸か不幸か、他の出身者とは違う意識で東京へ出てくる人が多い。その意識とは、小さいときから周りの人たちや関西のメディアから叩き込まれた「東京はライバル」という意識。それは関西弁に対するプライドや関西の味覚へのこだわりという形で現れてくるはずだ。そして、東京をはじめとする関東での暮らしが始まった途端、関東の言葉や味覚とのギャップに苦しみ、やがて「馴染まれへん。関西へ帰りたい」と言うことになってしまう。
 それではもったいない。東京は日本で最高のワンダーランドである。長く住むほどに味わいも出てくるし、人ごみに揉まれながら時には苦しむこともあるだろうけれども、人生そのものにも磨きをかけるチャンスにも満ち溢れているのだ。

 では、関西人が関東で長く快適に暮らすためにはどうすればよいのか。ちょっとした心得と意識改革で意外に簡単なものである。名古屋居住歴7年、関東居住歴6年半の私から、新しく関西から関東へ来る人たちにメッセージを託したいと思う。

1.関西人の友達を無理に探すな

 関西人にとって、耳慣れぬ東京弁に囲まれて過ごすと関西弁が恋しくなるのは自然の感覚だ。だが、関西人の友達を率先して探してはいけない。まずあなたが作るべき友人は関西以外の出身の人である。

 東京に住んでいる人で、東京出身だという人は多くはない。多くの人はどこかしらの地方出身者である。そして都会で生き抜くすべについて互いに知恵を出し、助け合うのである。

 関西出身の友人ばかりになると、関西人の特質からして関西人だけで群れてしまうことになる。そうなると東京に対する愚痴ばかりになることにもなりかねない。それではいつまでたっても前向きになれない。時々「5年ほど住んでいますが、どうも馴染めなくて」という声を聞くことがあるが、それは前向きに暮らしていないからである。そして、それは周りが悪いのではない。周りは壁など作っていない。壁を作っているのは実は自分のほうなのだということを認識しなくてはいけないのである。

 関西人の友人は探さなくても自然と出来るものだ。言葉が目立つからである。時には関東の文化について愚痴を言うのもいいが、それがずっとでは良くない。いろいろな友人を見つけて、充実した関東ライフを楽しもうではないか。

2.真っ黒なうどんは郷土料理だと思え

 関西人が関東に来てまず遭遇するカルチャーショックは、真っ黒なスープに漬かったうどんである。「こんなもん、食えるかい!」と思うかもしれない。だが、それは嘘である。はっきり言う。十分に食える。しかもそれは決してまずくはない。まずいと思うのは、味覚ではなく、先入観からきているのだ。

 関西人は関西のうどんが最高だと思っている。私もそうだ。去年の夏、天王寺駅で久しぶりに立ち食いうどんを食べたときは、懐かしくて涙が出た。うまい。こんなうまいうどん、久しぶりや。本当にそう思ったのである。

 話がややこしくなるのは、関西のうどんと比べるからである。関東人は真っ黒なうどんの方が好きな人だって多い。それはなぜか。小さいときから馴染んできたおふくろの味だからである。味覚にカルチャーショックを受けるのは、東西比較でもなんでもなく、単におふくろの味かどうかだけの話であり、それは結婚してすぐに女房の作る料理が美味しくなくて夫婦喧嘩になるのとさほど変わらない感覚なのである。

 関東の真っ黒なうどんは、関東人にとってはおふくろの味である。つまり郷土料理なのだ。関東に来て、自分のふるさととは違う郷土料理を味わうことが出来、違う文化の味覚と出会えたと思うと、なんだか凄くラッキーな気がしませんか? 私は最近仕事の途中で、あの真っ黒なうどんやそばを駅のスタンドで食べるのが楽しみになっている。そして東京でたくましく生きる自分の姿をイメージしながら、よ~しもっと(吉本ではない)頑張ろうという気持ちになるのである。

3.とにかくウロつけ

 これは関東に限ったことではないが、引っ越してきたらまずウロつくことをお勧めする。私の経験では、生まれて初めて関西を離れて暮らしたのは名古屋だったが、その時は初めての休日に岐阜と犬山と二つのお城を見てきた。犬山城の天守閣から眼下に流れる木曽川の清流を見ながら、早く馴染んでやろうと決心したものである。

 ふるさとを離れて東京に来たら、まずあの複雑な地下鉄網に圧倒される。大阪にも地下鉄はあるけれども、路線が縦横が割ときっちりと並んでいて分かりやすい。ところが東京の地下鉄路線はグニャグニャであり、路線数も多いし、おまけに東京メトロだか都営地下鉄だかの絡みもややこしい。しかもどこに行っても人だらけ。仕事以外の日には外出がおっくうになるのも分からないでもない。

 最初のうちは慣れないけれど、とにかく歩いて、電車に乗って、あちこち見て回ってみよう。慣れてくると、東京の街だってだんだん自分の街になってくるのだ。よく東京は冷たいと言われるけれども、自分の街だと意識できるようになれば、そんなことはいつの間にか考えなくなる。やがてはふるさとに近い感覚で見ることも出来るようになるはずだ。

 たくさんの友人に囲まれ、違った味覚文化を受け入れ、街全体を自分のものにする。これがずべて出来たとき、ひょっとすると関西へ帰れなくなるかもしれない。でもいいではないか。あなたが関西に生まれたのは、あなたが関西で生まれることを選択したからではない。しかし、あとから住んだ街をふるさと感覚にするかどうかは、選択することが出来るのだ。究極的には自分を「関西人」という枠にはめず、そこから脱却するところまでいかなくてはならないのかもしれない。

 さあ、全てを解き放って、新しい毎日を楽しもう!

 ・・・と、ここまで書いて加筆。
 実は私も時々関西のことを思い出すことがあるのです。
 今住んでいる沿線である西武の電車に乗っていると、なぜか故郷の南海電車を思い出すのです。
 幾つもの小さな駅にきめ細かく止まるあの感覚。どこか似ているんですね。

 関西人である自分を、心のどこかにしまっておいて、時々引き出してみる。こういうことも東京で頑張れる秘訣なのかもしれません。

 

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コメント

上記の内容にほとんど当てはまらないであろう私は(笑)、黒いうどんダシを飲み干すために…というだけではありませんが、来週東京に行く予定(笑)

たまに行くといろんな意味で刺激を受けます。新幹線で2時間半、たかだか500kmの距離でここまで違うことが多いとは。

投稿: ミーム | 2007年3月 9日 (金) 23時16分

私は殻を解き放つことが出来たのですが、
殻から出て来た自分は結局「大阪人」だったという事実に
気付かされました。
でも「ふるさと」があるからこそ、
きっと東京とか名古屋とか色んな所に行けるんですよね。

投稿: ヤマグチリョウタ | 2007年3月 9日 (金) 23時39分

毎度オフでお話しさせて頂いてますがきっささんの懐の深さに驚いています。関東・関西はもはや関係ないんです(←そこまでは言及してないか)というのはすばらしいことです。まるで競馬騎手の武豊さんみたいですね。

さて、それはさておき。
私も関西の競馬場に遠征することがありましたが、阪神競馬場・京都競馬場と行ったわけですが・・・
わたしも黒くない(笑)立ち食いうどんをたべたことがあります。だからといって拒否反応は起きませんでした。だしがきいてて旨かったぞ!
きっささんのおっしゃるようにその土地の料理だと思っていたからです。違和感なくおいしく食べましたよ。ただ、びっくりしたのが「揚げ玉入れ放題」と「寿司セット」ですね。これも関西ならではですよね。これはうらやましいと思いました。

>東京に住んでいる人で、東京出身だという人は多くはない。
>多くの人はどこかしらの地方出身者である。

全くその通り!
所詮は東京は地方出身者のあつまりです。
それがわかれば東京になんのコンプレックスもないのですよ。


東京だから、大阪だから、名古屋だからというマイナス的な観念は捨てるべきでしょう。東京(名古屋、大阪)だからこそ、今まで知らなかった一面が見られる・・・楽しい部分がある・・・
そういう素直さが大切なのかもしれませんね。

つまらないことで東西を比較するのはもうやめましょう!
素敵なこと、たのしいこと、びっくりすることで東西の違いを楽しみましょう!

>新幹線で2時間半、
>たかだか500kmの距離でここまで違うことが多いとは。

日本はそれだけ東西南北に長いということになりますね。
わたしはmixiで九州の人と毎週のようにやりとりしてますから
ネットだったら距離感はゼロですね(笑)

投稿: しばだあと | 2007年3月 9日 (金) 23時42分

ミームさん>
またまた何か怪しげな(笑)用事でも?
また別の機会にでも書きたいのですが、とんでもなく「反対」の事象が多いですね。エスカレータの立つ位置だとか、うなぎの開き方とか、プリペイドカードの料金の引き方とか・・・

ヤマグチリョウタさん>
本文と矛盾しますが、東京在住の関西人の友が一人少なくなってしまい、それはそれで寂しいです。東京ではかなり苦労されましたね。
またいつかこちらにも来てください。私は多分ずっといますから。
さて、東京滞在のうちに東京の街を「自分の街」に出来ましたか?
私は嫁さんと出かけたとき、嫁さんに「新宿はもう難波の感覚と同じや」と言ったら、ウケました。「難波」に例えたあたりが、ガラの悪い泉州地方出身らしかったみたいです。

しばだあとさん>
そんな偉大な方に例えられては困ってしまいます(笑)。
私も実は、武豊騎手を凄い人格者だと思っているのです。
クールな中に親しみのある笑顔を見せ、決して驕り高ぶらない。凄い人ですよ。
関西のうどんは、実は色だけが薄くてちっとも薄味じゃないのです。塩分量も関東のものとほぼ同じ。ベースがかつお(東)と昆布(西)の違いがあり、東のは醤油をより多く使うだけのこと。結局味の濃さ自体は同じぐらいなんだそうです。
そして何より、しばさんのような友人に出会えたこと、これこそが東京に来てよかったと思える一番の理由です。また飲みましょうや。

投稿: きっさ | 2007年3月10日 (土) 17時19分

東京遠征は「PASMO」開始記念を祝うためです(笑)

地球レベルで見れば「狭い狭い島国」である日本ですが、ウン百年、ウン千年(とまではいかないか)という「文化」の積み重ねや風土の違いがDNAに蓄積され、これほどに多彩な文化を生んでいます。これはある意味楽しまないと損ですよね。だから私は敢えて「意識」するようにしてます。

投稿: ミーム | 2007年3月10日 (土) 23時13分

ミームさん>
PASMOか、なるほど!
さっきテレビでCMやってました。多分関東ローカルなんでしょうね。

>これはある意味楽しまないと損ですよね。だから私は敢えて「意識」するようにしてます。
純粋に楽しむためなら、意識するのも問題ないと思いますよ。
東京でお会いして、私もミームさんのことをよく分かっているつもりですから。
私の中でも意識はあるのですが、東西比較よりも純粋に土地土地の違いですね。これは多分、名古屋にいたせいだと思うのです。
土地ごとの違いは、長く住んだ名古屋を抜きにしては語れないので。

投稿: きっさ | 2007年3月10日 (土) 23時21分

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最近やっと色々落ち着いて考えられるようになって来ました。再々就職のための勉強に苦戦していたり、贔屓のサッカーチームが最悪の出だしをしたりで色々悩ましいですが、どうにか生きてます。 さてこの人にふと言われたことがあります。 「東京滞在のうちに東京の街を「自分の街」に出来ましたか?」 ふむ、そう言われてみると、どうなのだろうと述懐してみますと… まずは住んでいた板橋区成増。坂道と風の強い街でした。それなりに便利な街だったのですが、商店街が分散していてあんまり使い勝手が良くなかったです。馴... [続きを読む]

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