下品な営業戦略
企業が業績アップを目指し、様々な営業戦略をかけるのは当然のことだ。しかし、その戦略が顧客に誤認をさせて釣り上げるものであるなら、それはフェアではない。例えそれが違法でなくても、私はその戦略をとった経営者の品格を疑う。以下は、今日(6月13日)の朝日新聞の記事からの引用である。
●朝日新聞6月13日夕刊 京都の「京急バス」に東京の「京急」が待った
京都市で営業する路線バス会社(大阪府寝屋川市)が今年4月に「京急(けいきゅう)バス」に社名を変えたところ、関東の大手私鉄、京浜急行電鉄(東京都港区)が待ったをかけた。同電鉄は60年以上「京急」の愛称で親しまれ、商標登録もしている。
京急バスは05年から、京都市内の3路線でバスを運行する。貸し切りバス中心だったイメージ一新を狙って4月6日に社名を「セレモニー観光」から「京急バス」に変えた。「京都急行バス」を短縮したという。
ところが5月末、京急電鉄から抗議の通知が届いた。京急電鉄によると、同社はすでに「京急」を商標として登録。京急バスが車体に社名を入れたり、社名入りのグッズを作ったりすれば、商標権の侵害に当たる可能性が高いという。
京急バスの本田充成社長は「営業地域が違うので大丈夫と思っていた」。新社名は「京都急行バス」で調整中という。
関東の「京急」の愛称が60年以上も親しまれているかどうかは別として、「京急」が京浜急行電鉄やその一連のグループを指していることは、すっかり定着している。京都の「京急」の社長が、「営業地域が違うので大丈夫と思っていた」とコメントしているが、本音は「多分大丈夫じゃないけれど、訴えられたら引っ込めよう」といったところではないかと私は考えている。
訴えられなければ京急グループと勘違いさせ続けられるし、訴えられればそれはそれで話題にもなる。現に関東の京急電鉄が抗議の通知を送ったことでこうして新聞にも取り上げられ、注目を集められる状況になっている。旧社名の「セレモニー観光」の知名度も上がっただろうし、これで「京都急行バス」に社名変更すれば、騒ぎを起こさずにあっさりと「京都急行バス」としたよりも印象が残る。ここまで戦略的には思惑通りではないだろうか。
私も一応経営者の端くれだが、こういうやり方は好きではない。やはり誠心誠意を持った営業をコツコツと続けて積み上げていく信用にこそ、本当の企業の発展があると思うのだ。
目立てばいい、一部の人を騒ぎに巻き込んでもいいから広く知ってもらえすればいい、そうして知ってもらったところで、利用しようとする顧客に本当に満足いくサービスが出来るのか。もしそこで出来なければやがては落ちていくのみである。口コミほど恐ろしいものはないと私は考えているのである。
大丈夫で無さそうな施策をぶち上げて、批判が湧いたら引っ込めてみる。こんなやり方をする会社はここだけではないのだが、あそこもやっているからという理由で平気でやるのはいかがなものか。私には全く共感できない。私は今後、この会社の営業エリアに行ったとしてもこのバスを使わないだろう。
一方ではこのような戦略を「個性的だ」とか「ユニークだ」とか評価する向きもあるが、明らかに特定の人々の眉をしかめさせるような営業戦略は、ただただ下品なだけである。
こんなトンデモ戦略をする経営者が一人でも減ってくれることを切に願わずにはいられない。
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コメント
確かに後々非難を浴びることをわかっていながら、注目を得るためだけにこのような戦略をとることは、たとえ違法で無くても嫌悪感を感じますね。
ところで、本エントリで引用されている新聞記事ですが、「朝日新聞社の許諾を得て転載~」といった一文が見当たりません。ウェブ上での使用に際して新聞社の承諾は得られているのでしょうか?ご存知の通り、新聞記事を無断使用すれば著作権の侵害であり違法です。
合意の上で引用しているとしても、承諾を得た上で転載している旨を明記すべきではないでしょうか?
投稿: darkbrown | 2009年6月13日 (土) 22時08分
darkbrownさん
内容についての同意、ありがとうございます。
引用についてですが、この記事中の引用については、違法ではなく問題ないと考えております。
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Kaigan/2534/quotation.html
投稿: きっさ | 2009年6月14日 (日) 17時45分
きっささん
ご返答ありがとうございます。著作権に関してご提示頂いたサイトを拝見いたしました。引用に関しては、承諾なしで利用できる条件が定められているのですね。「違法」などとコメントしてしまい、申し訳ありませんでした。
それにしても、京都の京急バスに対する批判は、暗に、ある別の特定の会社を批判するための伏線で、実はそちらがこのエントリの本旨なのでは?と邪推してしまいました。
投稿: darkbrown | 2009年6月14日 (日) 19時23分
darkbrownさん
私の場合、あるベテランブロガーの引用法を参考にして、違法にならないように私なりに注意して引用しています。特に出典や区別には気を遣っています。
ある特別の会社・・・まあ、私のブログのイメージがそれですから、それはそれでそのように捉えられても仕方ないですね。
私の印象では、最近の新興会社に奇をてらった戦略が多いなと思っています。ただ、やはり客を欺きかねないやり方には、それが斬新でも印象が悪いですね。
投稿: きっさ | 2009年6月14日 (日) 22時06分
これは、最初からボーダーラインを狙った作戦だね。けど、社名を商標登録されていたら、ダメじゃん。
「大黒屋」「三河屋」等々の同じ名前の会社、店舗は、探せば意外とある。
けど、これだけ確信犯はないぞ。(笑)
営業拡大のため、他の地域に進出したら、同名の店舗、会社があり、差別化の為に社名、店舗名を変えた話も聞いた事あります。
投稿: つかさ まお | 2009年6月16日 (火) 00時19分
つかさ まおさん
社名を一回余分に変えるので登記にかかる費用が余計にかかるわけですが、それもこういう騒ぎになって知られるようになると、広告費よりも安いということかもしれませんね。
少し話は変わりますが、九州のホームセンター「ナフコ」が最近愛知県に進出してきたと聞きましたが、愛知県にはかなり前からスーパーマーケットの「ナフコ」があり、そのあたりどうなっていくのか、関心のあるところです。
投稿: きっさ | 2009年6月16日 (火) 05時23分
食料品店のナフコは、数年前にフィールに名前を変更しました。
けど、なかなかと複雑な会社みたいでフランチャイズ、加盟店の一部は、今でもナフコで営業しているみたいです。
基本的に九州のナフコが愛知県に進出しても問題ないです。
投稿: つかさ まお | 2009年6月16日 (火) 20時37分
つかさ まおさん
私が名古屋を去ってから、色々と変わったみたいですね。
ユニーもユーストアとともに店舗名が変わったと聞きましたので。
投稿: きっさ | 2009年6月20日 (土) 15時48分
京都の女子大を結ぶあのバスは知ってましたがそれが「京急」という愛称とは知りません
でした。なるほど。
>「他の地域ならいいと思った」
確かに日本中に銀座はありますし。
わからんこともないですけどね。
ネーミングはとにかくインパクトですよ。
「京急」よりも「舞妓バス」とか
「ゲイシャ エクスプレス」とかで
よかったのじゃないですか(笑)
投稿: 江草乗 | 2009年6月21日 (日) 20時53分
>顧客に誤認をさせて
あらゆる手を使ってこれをするのは悪徳商法なんかの一部以外あまり目立たなかったのが
最近は大手企業でも堂々とやってのけますからねえ…
(食料品の)ナフコチェーン
>食料品店のナフコは、数年前にフィールに名前を変更しました。
>けど、なかなかと複雑な会社みたいでフランチャイズ、加盟店の一部は、今でもナフコで営業しているみたいです。
↑では誤解を受けやすい位、非常にややこしく私も一回で理解できなかったので書き直すと、
ナフコチェーンに加盟していた各社のうちの一部、
ナフコカニエ運営の店舗→フィール
ナフコはせ川運営の店舗→マックスバリュ中部(へ吸収)
がナフコでなくなり、
それ以外は今でもナフコ
という事だそうです。(ちなみにそれぞれフランチャイズではない)
ついでに、ユニーとユーストアはピアゴになってます。(系列のアピタはそのまま)
投稿: 匿名(まだ仮) | 2009年6月22日 (月) 00時20分
江草先生
インパクトは大事ですけど、やはりその中にも節操は必要ではないかと思います。
銀座はまだしも、京急はやっぱりルール違反だと思います。
京浜急行電鉄が正式に京急の略称を使い出したのは、例えば京浜川崎駅が京急川崎駅など、京浜○○駅を京急○○駅に改称した20年くらい前からではないかと思います。関東ではすっかり京急の略称は定着しているし、登録商標にもなっているということです。
ゲイシャエクスプレスなら芸者急行、略して「芸急」ならシャレになるか!?
匿名(まだ仮)さん
詳しい解説ありがとうございます。
私がかつて、ゼネコン勤めをしていた頃、名古屋支店の時期が結構ありまして、その時にナフコニワキンの店舗の建築工事の事務担当だったことがあります。
「フレッシュフーズのナフコチェーン♪」のCMが懐かしく思い出されます。
投稿: きっさ | 2009年6月23日 (火) 00時07分
この内容を読んでみて疑問に思ったのは、京都急行は本当に「誤認をさせて釣り上げる」戦略をとったのだろうか?と言うこと。あくまでもこれはきっささんの推測と言うか、そう感じただけですよね?
文章を読むと断定はして無いまでも、決めつけてしまっている様にとれてしまいます。
確かに世の中には「誤認をさせて釣り上げる」戦略をしていると思われる会社もあるようですが、たった一度の事柄で穿った見方をして決めつけるのはどうかと思いますよ。
投稿: tak | 2009年7月13日 (月) 11時56分
takさん
色々と忠告ありがとうございます。
>あくまでもこれはきっささんの推測と言うか、そう感じただけですよね?
おっしゃるとおりです。
個人ブログなので、この記事に限らず私の思い、推測がほとんどです。
文章の捉え方は個人それぞれですし、共感できる人もいれば出来ない人もいるでしょう。一御意見としてお聞きしておきます。
投稿: きっさ | 2009年7月16日 (木) 06時35分
こちらのブログは今日初めて訪問いたしましたが
きっささんの記事は私とセンスが似たところがあるのでしょうか
共感できます
「誤認をさせて釣り上げる」
というところは定かではありませんが
この部分は結果の部分ですので私はあまり気になりませんでした。
むしろ、本田充成社長は「営業地域が違うので大丈夫と思っていた」
ここですね。
かってに大丈夫だと思っていた
ずうずうしいし下品だと思う
ところで、関東の人間は武士商売といって
本物の商売人ではないと言っている人がどこぞの掲示板にいましたが
きっささんは武士商売のように思えますがいかがでしょう?
もうひとつお伺いしたいのですが
関西の人にとって商売人というのはほめ言葉なんでしょうか?
投稿: バンブー | 2010年1月17日 (日) 02時33分
バンブーさん
昨日、とある会社の社長に挨拶に伺いましたが、関西の商売と関東の商売は違うと聞きました。
一応標準語のつもりで話していましたので、関西人と気づかれたかどうかは分かりませんが、私の思いを語ったところ、それは武士商売だと言われました。多分私の考え方は武士商売なんだろうなと思います。
大学が元々商科系の所でしたから「商売人」と言われることにはあまり嫌な思いはありませんが、がめつくてケチで強引だと思われるとすれば、それは心外に思います。経営がうまくいった時に、「あいつは商売人やなあ」と敬意を持って言われる分にはうれしく思います。
投稿: きっさ | 2010年1月23日 (土) 10時15分